剣術修行と借金取りの助太刀を通じて
若武者は江戸の世の実態を目の当たりにしていく

●あらすじ・内容

毛利家家宝の刀「友成」を高名な刀剣商・備前屋へ持ち込んだ嘉一郎と助八郎。大番頭の國蔵は意外な値をつけたが…..助八郎の勝手に振り回されながらも「助太刀稼業」で名を挙げた嘉一郎は、一万八千両もの借財があるという御奏者番の江戸藩邸へ赴くことに。案内の小姓の姿が消えた時、不穏な声が響き、危険が迫るー 引用:文庫裏表紙より

●読みどころ

・毛利助八郎と名刀「友成」
助八郎は藩を出る際に毛利家家宝の名刀「友成」を持ち出していた。江戸にたどり着いた助八郎だが、金がなく困ってしまう。唯一の金目のものといえば友成のみ。これを売って金を得ようと考え刀剣商の備前屋に嘉一郎と一緒に持ち込んだところととんでもない値がつくことに。。。本当に助八郎は家宝の「友成」を手放してしまうのか? 名刀「友成」が名刀がゆえにいろいろな面倒を引き起こす元となり嘉一郎と助八郎は振り回されることになっていく。

・剣商備前屋の大番頭國蔵と嘉一郎
「友成」持ち込んだことで出会った剣商備前屋の大番頭國蔵は用心棒稼業が自分の稼ぎ仕事だという嘉一郎に頼みたい仕事があるという。その仕事は備前屋の表の仕事ではなく裏稼業の助太刀をする事だった。こうして江戸での備前屋の助太刀稼業をしていく事になる。

・嘉一郎江戸の暮らし
ひとまず江戸での生活を始めた嘉一郎だが、武者修行の心は忘れていない。普段は白井道場に通い師範代を務めながら稽古に励む日々を送っている。剣術家とは何か、武者修行とはなにかと思い悩み始める。簡単に答えがでることでもないが嘉一郎は自分の人生がどこに向かっていこうとしているのか、道場で稽古をしたり備前屋の助太刀稼業をしながら様々な人と出会って考えを深めていく。

●こんな人におすすめ

自分の生き方に迷いを感じる人・・・武者修行を続ける剣術家としての嘉一郎の苦悩が自分と重ねてみることができるかもしれません
時代小説が好きな人・・・とても読みやすい、主人公が強くてかっこいい。
佐伯泰英が好きな人・・・新シリーズ第二弾!

●著者プロフィール

1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作「闘牛」をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、<文庫書き下ろし時代小説>という新たなジャンルを確立する。おもな著書に、「居眠り磐音」
「空也十番勝負」「酔いどれ小籐次」「新・酔いどれ小籐次」「密命」「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」「鎌倉河岸捕物控」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」「新・古着屋総兵衛」「照降町四季」「柳橋の桜」「芋洗河岸」各シリーズ、『新酒番船』『電稲荷の猫』など多数。2018年、菊池寛賞受賞。引用:文庫カバーより