こんにちは。50代会社員、読書とスキーとお酒をこよなく愛する歴史小説ブロガーです。
今回ご紹介するのは、司馬遼太郎の名作『竜馬がゆく』文庫第5巻。

この巻では、竜馬がいよいよ歴史の表舞台で動き始める本格的な転機が描かれます。
ただの剣士ではなく、“実行力のある構想家”としての竜馬が見えてきて、
シリーズの中でも特に面白い巻だと感じています。

実は読んだことがないけど気になる作品。でも今更一から読む時間もない。
そんなあなたが5分で読んだ気になれるよう
あらすじと名シーンをわかりやすくまとめました。

◆『竜馬がゆく』文庫第5巻のあらすじ・内容

舞台は再び長崎へ ― 商人・政治・海軍が交差する街
勝海舟の下で学び、海軍創設の志を共有した坂本竜馬は、長崎の地で活動を本格化させます。
ここは、幕末の国際都市。外国人商人、諸藩の密使、倒幕志士たちがひしめく
“情報と武器と金の交差点”です。

竜馬はこの街で、自らが立ち上げる「海援隊」(前身となる亀山社中)の構想を温めていきます。
仲間を集め、資金を調達し、船を買い、物資を運ぶ――つまり、
“会社経営”のような動きを始めるわけです。

しかもそれは、商売のためではなく、国の未来をつくるための手段。
「民間人が武士や大名を動かす時代だ」と、竜馬は本気で思い始めている。
この柔らかくてしなやかな発想力が、彼を唯一無二の存在に押し上げていくのです。

薩摩との関係が深まり、ついに“薩長連携”の道へ
この巻の大きな見どころは、薩摩藩(西郷隆盛・小松帯刀)との信頼関係が
一気に深まるところです。
西郷とは思想的にも相性が良く、会えば互いに腹を割って話せる仲。
特に、小松帯刀とは、竜馬にとって政治・ビジネス両面のパートナーになります。

薩摩という強大な軍事力を背景に、竜馬は「長州を守る」ための段取りを整え始めます。
長州藩は当時、幕府の敵として弾圧を受けていたが、竜馬はその中に
「日本の未来を変える気骨」を見ていたのです。

薩摩と長州――本来は犬猿の仲。
でも、竜馬は両者の利害と性格を読み、見えない橋をかけていく。
この過程が、後の「薩長同盟」へとつながる伏線になっていきます。

海援隊=“日本初のベンチャー企業”誕生前夜
この巻では、「武士が会社をつくる」という、当時としては破天荒すぎる行動が描かれます。
竜馬は、仲間たちと共に物資の売買、艦船の運用、武器調達を手がける組織を立ち上げます。

それが後の「海援隊」。
竜馬はこの隊を、ただの運送会社に終わらせるつもりはなく、政治・軍事・経済
をつなぐネットワークの要にしようとしていたのです。

誰の命令でもなく、自分の構想で動き、人を動かし、歴史を動かす。
竜馬の“実行力の進化”が、この第5巻で大きく花開きます。

◆おすすめ『竜馬がゆく』第5巻の名シーン3選

①【西郷隆盛と竜馬、長崎での再会と熱談】
腹を割って語り合うこの場面は、まさに“大人同士の友情”のような静かな熱さ。
権力でも肩書でもなく、「この人となら国をつくれる」と
思える信頼感がじわじわ伝わってきます。
二人が未来を語る姿は、読み手の胸をじんわり熱くします。

②【“脱藩浪士が会社を起こす”という構想を仲間に語る場面】
これはもう痛快です。
武士の時代に、“株式会社のような仕組みで物と人を動かす”という発想を持った男がいたのかと驚きます。
しかも、仲間を本気でその気にさせる話術がうまい。経営者気質の竜馬がここで初めて本格的に見えてきます。

③【異国の商人との堂々たる交渉シーン】
英語もろくに話せず、国際法もない中で、それでも武器や船を手に入れようと食い下がる竜馬の胆力。
「言葉が通じなくても、心と覚悟で勝負する」姿勢がすさまじい。
この場面は竜馬の“交渉人”としての力を象徴しています。

『竜馬がゆく』文庫第5巻のまとめ|“交渉と行動の人”がここから動き出す
この巻でようやく、「坂本竜馬という男がなぜ明治維新のキーマンたり得たか」が見えてきます。

剣を捨てて構想を持った

交渉で人を動かし、行動で組織を立ち上げた

敵味方の線引きを超えて、時代をまとめようとした

こういう人材が、いまの時代にも本当に必要だなと、読んでいてしみじみ感じます。

「リーダーシップとは何か?」
「自分の信じる道を、誰にも頼らず進むとはどういうことか?」

そんな問いが自然と胸に残る1冊です。

坂本竜馬 薩長同盟

竜馬がゆく あらすじ 第5巻

司馬遼太郎 名場面

幕末 海援隊とは

歴史小説 初心者向けおすすめ本

次回の第6巻では、ついに“薩長同盟”が成立へ――
竜馬が「日本を一つにまとめる」ために命がけで動き出す場面が続々登場します。
お楽しみに!

今夜の一杯のつまみに、歴史ロマンはいかがですか?
それではまた。