すっごい黒幕が出てきた!物語が一気に加速する第2巻。明治という時代の裏側の一部がここに。
●あらすじ・内容
『イクサガミ 地』は、前作『イクサガミ 天』に続くシリーズ第2作目。主人公の嵯峨愁二郎(さが しゅうじろう)は、剣の道で名を馳せた京八流の後継者の一人。彼は、丹波の少女・香月双葉(かつき ふたば)とともに東京を目指す旅の途中、彼女が攫われたことをきっかけに、壮絶な戦いに巻き込まれる。
本作の舞台は東海道。そこで繰り広げられるのは「蠱毒(こどく)」と呼ばれる多くの剣豪たちが命を懸けて争う戦い。愁二郎は義弟の祇園三助や他の京八流の兄弟たちと再会し、彼らとともに戦いに挑むことに。
●魅力的な登場人物たち
本作には個性的で魅力的なキャラクターが多数登場します。
嵯峨愁二郎: 主人公であり、京八流の剣士。信念を持ち続けながらも、激しい戦いに身を投じる姿は感動的です。
香月双葉: 若干12歳ながらも芯の強い少女。彼女の存在が物語に温かみを与えます。
祇園三助: 愁二郎の義弟で、兄との絆や葛藤が物語に深みを加えます。
化野四蔵: 京八流の才覚ある剣士で、蠱毒の戦いで重要な役割を果たします。
岡部幻刀斎: 京八流を裏切った者を狩る使命を持つ剣士。物語の緊張感を高める存在です。
これらのキャラクターが、それぞれの信念や思惑を胸に戦い、交錯する姿が、本作の醍醐味と言えるでしょう。
●読みどころ
1. 明治時代の息吹
本作は、明治維新後の日本という激動の時代をリアルに描きます。刀から銃へ、旧時代から新時代へ、その移り変わりの中で揺れ動く人々の心情や葛藤が鮮やかに描かれています。読者は、まるで当時の日本にタイムスリップしたかのような感覚を味わえるでしょう。
2. 圧倒的なバトル描写
今村翔吾の筆力は、戦闘シーンにおいて一層輝きを放ちます。剣と剣がぶつかり合う音、命を懸けた一撃の重み――それらが文字から立ち上がるような迫力で描かれています。読んでいるだけで、まるで自分がその場にいるかのような臨場感を味わえるのです。
3. 深い人間ドラマ
この物語は、単なる剣豪同士の戦いではありません。そこには、兄弟の絆や裏切り、希望と絶望、そして愛が描かれています。50代の読者が共感できる人生の深いテーマが織り込まれており、読み終わった後には大きな感慨を得られることでしょう。
●この本をおすすめする人
・時代小説や歴史小説が好きな方
・明治維新の時代背景に興味がある方
・心揺さぶられる人間ドラマを楽しみたい方
・バトルシーンの迫力を堪能したい方
特に、50代の読者には本作のテーマが深く響くのではないでしょうか。新しい時代にどう向き合うか、変わりゆく環境で自分をどう保つか――これらは現代の私たちにも通じる普遍的なテーマです。
●著者プロフィール
1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥羽州ぼろ組」(祥伝社文庫)でデビュー。’20年「八本目の槍』(新潮社)で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年「じんかん」(講談社)で第11回山田風太郎賞を受賞。21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第6回吉川英治文庫賞を受賞。’22年「塞王の楯』(集英社)で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「くらまし屋稼業」シリーズ『童の神』(角川春楜事務所 時代小説文庫)「ひゃっか!全国高校生花いけバトル」(文響社)「てらこや青義堂 師匠、走る』(小学館)がある。引用:文庫カバーより
●まとめ
明治時代を舞台に、旧時代の剣豪たちが織りなす激闘と人間模様を描いた大作です。明治維新後、激動の時代背景と、キャラクターの魅力、さらに手に汗握るバトル描写が詰まった読みだしたら止まらない物語の第2弾です。