女性作家が描いた女性が主人公の時代小説。

絶対!女性におすすめの作品です。

間違いない!!

●あらすじ・内容

店の主の治兵衛が諸国をめぐり見覚えた菓子を手頃な値で売る「南星屋」。娘と孫の三人で店を繁盛させた治兵衛は、手首を痛めてしまう。納得のいかぬ代物に苛立ちが募る中、店先に雲平という男が行き倒れていた。京から来たわけを訊くと、込み入った事情があるようで・・・・。荒んだ心をほぐす人情味溢れる時代小説。引用:文庫裏表紙より

●人生の小さな幸せを見つける旅へ──西條奈加『亥子ころころ』の魅力

日々忙しい仕事に追われ、気づけば疲れ果てている。あるいは、定年後の新しい人生に向けて、少し不安を抱いている。そんな方にこそ読んでほしい一冊が、西條奈加さんの時代小説『亥子ころころ』です。この作品は、江戸時代を舞台にしながら、現代の私たちにも響く深いテーマと温かさに満ちています。

●江戸の小さな世界が描く大きな心

『亥子ころころ』は、江戸時代の市井(しせい)の人々の生活を描いた物語です。舞台は賑やかな町の片隅にある、誰もが顔を知るような人情あふれる世界。この小説では、登場人物一人ひとりが愛すべき存在として丁寧に描かれています。人生に潜む「ちょっとした幸せ」や「予期せぬ救い」を丁寧に紡ぎ出していくのです。読んでいると、江戸の人々のやり取りや四季の移ろいがまるで目の前に広がるような感覚を覚えます。西條奈加さんの筆は軽やかで、難しい歴史の知識がなくても、時代の壁を感じることなく物語の中にすっと入り込むことができます。

●人生のヒントが見つかる物語

『亥子ころころ』には、現代の私たちに通じるテーマがいくつも織り込まれています。その一つが「変化を受け入れる心」です。江戸時代の人々も、現代の私たちと同じように、日々の生活の中で様々な変化や困難に直面していました。商売がうまくいかなくなったり、人間関係に悩んだり。それでも、彼らは人とのつながりを大切にしながら、少しずつ前に進んでいきます。この物語を読み進めると、自分の人生を振り返り、これからどう生きていくかを自然と考えています。

●将来の不安に寄り添う「江戸の知恵」

定年後これからの人生を考えるとき、これまでと違う時間の使い方や新しい人間関係に戸惑うこともあるでしょう。そんな時、『亥子ころころ』の登場人物たちの「生き方のヒント」が心に響くはずです。彼らは決して大きな成功を追い求めるわけではありません。しかし、日常の中で他者と助け合い、小さな幸せを見つけていきます。この価値観は、今後の人生をどう豊かにするかを考える上で、貴重な視点を与えてくれます。

●『亥子ころころ』から名言10選

1. 「人の縁というものは、思いもよらぬところからころころと転がってくるものだ。」                       忙しい毎日や変化の多い人生でも、ふとしたきっかけで新たな出会いや幸せが生まれる可能性を示唆している一節です。どんな状況でも、心を開いて待つ姿勢が大切だと教えてくれます。

2. 「焦らずともよい。ひとつずつ、できることから始めればいいのだから。」
目の前にある課題に圧倒されそうになったときに思い出したい言葉。小さな一歩でも、確実に前進していくことが大切です。

3. 「幸せとは、気づくことだ。すでにあるものに、目を向けてみればいい。」
忙しい日常では見過ごしてしまいがちな、小さな幸せに気づくことの重要性を語るこの一節は、疲れた心をそっと癒してくれます。

4. 「どんな困難も、いつかは去るもの。それまで耐え忍ぶのも、また人生の一部だ。」苦しい状況の中でも、耐えることで得られる強さや成長を教えてくれる言葉です。特に長い人生の中で、辛い時期をどう受け止めるかを考えさせられます。

5. 「人の善意は、小さな灯火のようなものだ。それを消さず、大切に守るのが肝要。」
他者の善意や優しさを大切にし、それに応える心の持ちようを説いています。人とのつながりを深く感じさせる一節です。

6. 「老いてからの楽しみは、若いころに気づかなかったものに出会えることだ。」
定年後の人生への不安を和らげてくれる言葉。新しい発見や楽しみは、どの段階の人生にもあることを教えてくれます。

7. 「過去を悔やむな。未来を恐れるな。今、この瞬間に力を注げ。」
シンプルながら力強いメッセージで、人生に迷ったときや立ち止まったときに背中を押してくれます。

8. 「一人で背負わずともよい。支え合えば、どんな山も越えられる。」
他人に頼ることや支え合うことの大切さを伝えるこの言葉は、特に孤独や責任感で疲れている人の心に響きます。

9. 「笑顔の裏には、必ず努力がある。だからこそ、その笑顔は尊いのだ。」
日々の苦労や努力が報われる瞬間を大切にする気持ちを思い起こさせる一節。働く人にとって特に心強い言葉です。

10. 「人はみな、迷いながら生きるもの。迷いこそが、その人らしさを作るのだ。」
不安や迷いをネガティブに捉えず、それもまた自分の個性や生き方の一部だと肯定してくれる温かいメッセージです。

●著者プロフィール

西條奈加(さいじょう・なか)1964年北海道生まれ。2005年「金春屋ゴメス」で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。12年「連薬の雪」で第18回中山義秀文学賞を受賞。15年「まるまるの様」で第36回吉川英治文学新人賞を受賞、’21年『心淋し川」で第164回直木賞を受賞した。他の作品に「曲亭の家」「六つの村を越えて選をなびかせる者」など多数。引用:文庫カバーより

●まとめ

忙しい日々の中で、あるいは定年後の新しい生活を前に、心に少し疲れを感じている方にこそ、西條奈加の『亥子ころころ』をおすすめします。この作品は、江戸の人々の温かな暮らしを通して、私たちに大切なことを思い出させてくれる一冊です。『亥子ころころ』を手に取りページをめくると、気軽にちょっと江戸の町の散歩に出かけてくるような気持ちに浸ることができます。その時間が、疲れた心をそっと癒し、明日への力になることでしょう。