日露戦争が本格化し、日本陸海軍がロシア軍との激しい戦闘を繰り広げられる。
秋山好古と秋山真之の兄弟を中心に、明治日本の若き国力と人々が奮闘する。
◆あらすじ・内容と読みどころ
日露戦争の始まりと日本の苦境
明治37年(1904年)2月、日露戦争が勃発。日本は、国力や兵力で圧倒的に勝るロシアとの戦争に
いよいよ突入。秋山好古は陸軍少将として第二軍に所属し、遼東半島に上陸するが、戦況は厳しく
、苦戦を強いられる。
一方、弟の秋山真之は連合艦隊の参謀として、旅順港に潜むロシア艦隊への対応に苦慮する。
旅順港は堅固な砲台群で守られており、海軍だけでは攻略が難しい状況であった。
黄海海戦と旅順港の攻防
黄海海戦では、日本の連合艦隊がロシア艦隊を追撃しますが、ロシア艦隊は旅順港に逃げ込む。
このため、海軍は陸軍に対し、旅順港の攻略を要請します。乃木希典率いる第三軍が旅順港攻略に
あたるが、二〇三高地を巡る攻防は熾烈を極め、多くの犠牲者を出します。
秋山好古の騎兵隊とロシア軍との戦い
秋山好古は、自ら育て上げた騎兵隊を率いて、ロシア軍のコサック騎兵と各地で激しい戦闘を繰り
広げる。特に、奉天西方での戦いでは、好古の部隊が火力と速力を活かしてロシア軍を撃退し、
北進を続けていく。
このように、秋山兄弟はそれぞれの立場で日本のために尽力し、戦局の打開に貢献する。
明治日本の若き国力と人々の奮闘
『坂の上の雲』第4巻では、明治日本の若き国力と、それを支える人々の奮闘が描かれている。
秋山兄弟をはじめとする登場人物たちは、困難な状況の中で知恵と勇気を振り絞り、国のため
に戦う。彼らの姿からは希望を与えらる。
◆こんな人におすすめ
① 歴史好き・日本近代史に興味がある人
明治という激動の時代をリアルに描いており、日清戦争・日露戦争に至る政治・軍事の動きが
具体的かつ緻密に描かれています。「歴史が人間によって動いている」ことを実感できます。
② 自己成長や挑戦の物語が好きな人
主人公たちは地方出身でありながら、それぞれの分野で努力を重ね、
日本という国を背負って成長していきます。特に秋山真之の知性と戦略、秋山好古の胆力は
「個の力と情熱」が感じられます。
③ 志ある人間ドラマを読みたい人
明治という時代の若者が国家や時代に翻弄されながらも「何のために生きるか」「どう死ぬか」
を真剣に考え抜く姿には静かな衝撃と余韻が残ります。
◆著者プロフィール
大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、
「家の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池
寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。
51年、日本芸術院完恩賜質。57年、「ひとびとの登音」で読売文学賞受賞。58年、
「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく南蛮のみち」
で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼
疾風録」で大佛次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。
日本芸術院会員。著書に「司馬遼太郎全集」(文藝春秋)ほか多数がある。
平成8(1996)年急逝。
◆まとめ
日露戦争の激しい戦闘と、それに立ち向かう人々の姿を通して、明治・日本の姿を描いています。
歴史小説としてだけでなく、人間ドラマとしても読み応えのある一冊!