●あらすじ・内容

美濃御丈藩藩主の正室・彩智は美貌のうえ、剣の腕も天下一品。おまけに好奇心も人一倍旺盛で、娘の佳奈を巻き込んで、いろんなことに首を突っ込むのが得意だ。そんな折、御丈藩出入りの菓子舗・満月堂の羊羹を食べて体調が悪くなる者が続出する。懇意にしている常陸谷原藩の側室・初音までも、満月堂の菓子を食べて具合が悪くなったと聞いた彩智は、佳奈とともに持ち前の好奇心で事件の真相を調べ始める。奥方様と姫様が手を組んで難事件を解決していく痛快時代小説新シリーズ開幕! 引用:文庫裏表紙

母子が逆転したような関係性も面白い。

●おすすめどころ・感想

美しい上に剣もめっぽうつよい牧瀬家の母子の活躍から目が離せない。四万石の大名の奥方様が北辰一刀流の免許皆伝の凄腕剣士ってだけで何かすごいことが起こりそうな期待感があるのに、好奇心旺盛で気になる事があるとすぐに動こうとする彩智。牧瀬家の奥方様が動きまわると大変と、母が暴走しすぎないように冷静にブレーキをを踏もうとする娘の佳奈の母子逆転したような関係がなんともいえない。

牧瀬家の近習・板垣隆之助は奥向きの警護担当ということだが、剣術の腕はからっきしで彩智と佳奈にはとうていかなわない。おとなしい性格で人に逆らえないいい人。堅物の留守居役の石動監物と彩智との間に挟まれていつも頭を悩ませている姿に同情してしまう。結局、いつも彩智と佳奈に強引に引っ張られてしまう事になるのだが。

難事件の裏にかくされた陰謀を暴いていく母子。少しずつ事件の謎を解明していくのだがなかなか本当に悪い奴がでてこない。誰だ?!本当に悪い奴は。。

●この本をおすすめする人

ミステリー好きな人・・・時代小説であり、ミステリー小説です。
痛快時代小説が好きな人・・・奥方様の友達が犠牲になってしまった難事件の真相を探ろうと大活躍する剣術の強い母子。

●著者プロフィール 山本巧次やまもと・こうじ

1960年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。2015年、第十三回「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉となった『大江戸科学捜査八丁堀のおゆう』(宝島社)でデビュー。2018年、『阪堺電車177号の追憶』(早川書房)で第六回大阪ほんま本大賞受賞。ほかに『早房希美の謎解き急行』(双葉社)『入舟長屋のおみわ』(幻冬舎)『鷹の城』(光文社)『災厄の宿』(集英社)など著書多数。引用:文庫カバーより

●まとめ

痛快、面白くて一気に読んでしまえる時代小説です。時代版ミステリー!シリーズの今後の展開、奥方様と姫様の活躍に期待!!