おすすめの時代小説新刊「実は、拙者は。」はとても読みやすく時代小説初心者にもおすすめ!

●あらすじ・内容

深川佐賀町の裏店に住まう棒手振りの八五郎は、平凡かつ地味な男。人並み外れた影の薄さが悩みの種だが、独り身ゆえの気楽な貧乏暮らしを謳歌している。そんな八五郎は、ある夜、巷で噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場に出くわす。物陰から固唾を呑んで闘いを見守る八五郎だが、一柳斎の正体が、隣の部屋に住まう浪人の雲井源次郎だと気き---。影と秘密は江戸の華!?期待の新鋭が贈る、書き下ろし傑作時代小説。引用:文庫裏表紙より

白蔵盈太作のおすすめ書籍。江戸時代中期、江戸の町を舞台にしたザ・エンターテイメント。

●おすすめどころ・感想

本編に入る前に目次を見ただけで何かワクワクと期待感がもてます。第一章の「実は、それがしは。」からはじまり、第七章の「実は、あの人は。」までいったいどんな裏の顔を持った人がどれだけ登場するのか??と期待させられます。棒手振の八五郎の隣に住む浪人が実は近頃巷で噂になっている幽霊剣士であり、武家を度々襲っていた。そのわけは最後の最後に明かされることになるが、その理由となる理不尽ともいれる事件には怒りを感じた。いつの時代にも己の欲のためにまわりの人間を犠牲にしてでも自分第一にする人が多い。そんな人間が許されていいはずはない。

主人公の棒手振の八五郎は江戸の町にどこにでもいそうな平凡な町人。一方八五郎の周りに登場する人たちはみな「実は、〇〇だった」みたいなすごい人ばかり。でも当の八五郎も実は、だれもまねのできない、本人も自覚してない特技の持ち主だった。

江戸っ子はみなおせっかいというイメージはありますが、深川佐賀町の長屋でもそう。長屋の人たちのおせっかいは時には緻密に計算された誰かの企てをぶち壊してしまい、事態を危うい方向にもっていってしまうけども、最後は人情味があふれるおせっかいには涙がこぼれるし、笑いを誘うこともある。

白蔵盈太さんの作品はこの本が初めてでしたが、ほかの本もぜひ読みたい。時代小説だけどなんだか現代に通ずる感じがすごくして、とても読みやすく楽しい本でした。

●この本をおすすめする人

とにかく楽しい時代物が好きな人・・・棒手振の八五郎、この愛すべきキャラクターがいい!浜乃ちゃんも明るくてかわいくてきっとみんな好きになる。ちゃんと悪い奴もでてきます。

ただただ面白い本を読みたい人・・・読み始めたらとまらない感じ。次どうなる?その次どうなる??が止まらないのです。最後はちゃんとそうだったのか~と満足させてくれます。

●著者プロフィール:白蔵盈太 しろくら・えいた

1978年埼玉県生まれ。文芸社主催の第3回歴史文芸賞最優秀賞を受賞し、2021年『あの日、松の廊下で(原題:『松の廊下でつかまえて』)』(文芸社文庫)で作家デビュー。会社勤めのかたわら、他とは一味違った歴史時代小説を精力的に刊行している。主な著書に『関ケ原よりも熱く天下分け目の小牧・長久手』『桶狭間で死ぬ義元』『義経じゃないほうの源平合戦』(以上文芸社文庫)など。引用:文庫カバーより

●まとめ

いやー、最高のエンタメ小説ですよ!これは!!
物語の構成も最高だったし、出てくる人たちのキャラクターもよくついつい感情移入して引き込まれてしまいました。絶対おすすめ!!