ほのぼのしたかと思えば泣ける。
泣けたかと思えば最後はぱぁっと気分すっきり。
この本を開いてしまうとあなたの感情、忙しくなりますよぉ-
●あらすじ・内容
魚屋の辰次が柄にもなく端唄を習っていると知り、暴走を始める万造と松吉・・・。島田鉄斎を突如訪ねてきた武家妻女の正体は?晴れて父親になった久蔵が陥った窮地とは?本所沢町の「おけら長屋」は、いつも騒動の宝庫だ。大家・徳兵衛の知られざる過去に発し、父娘の複雑な情愛を見事に描いた長講「てておや」はじめ、人情落語テイストに磨きをかけた大好評シリーズ、注目の第三弾。文庫書き下ろし。引用:文庫裏表紙より
シリーズ第三弾も5編の短編で盛りだくさん。泣いて、笑って、心にしみて、幸せな気持ちになること間違いなし!
●どんな本?(おすすめどころ・感想)
うたかた:「あら、そんなことないわよ。辰次さんは人を元気にすることができる。私も辰次さんの売り声を聞くと元気になるんだから」 魚屋辰次が出入りする家のお歌が自分は何も取り柄がないという辰次にこういった。辰次はお歌に気があるから胸がときめいて体のなかが熱くなってしまう。辰次の初恋だ。お歌と一言二言、言葉を交わすだけでうれしいのに、こんなことを言われると天にも昇るような気分になってしまう。絶対におけら長屋の連中にはお歌ちゃんを会わせたくないと思う辰次だが、そうはいかない。八五郎や万造、松吉がからんできて辰次の初恋はどうなる!?
こばなれ:立派な武士に育ってほしいと、息子の隆之介に剣術を習わせようと鉄斎のもとにやってきた母子だったが、実は隆之助がなりたいのは武士ではなく噺家だった。剣術を教えてほしいと母親から頼まれた鉄斎はどうするのか。
あいえん:八五郎とお里の娘のお糸も20才になる。おけら長屋での生活では出会いもないと、一人でも生きていけるようにとお裁縫仕事に精をだす。所帯をもつってのはやっぱり縁だよ。とお染さんはいう。お糸ちゃんにいい縁はあるのか。
●この本をおすすめする人
50代毎日忙しく疲れている人・・どれでも笑えるけど、一押しは「うたから」。八五郎が真剣になればなるほど笑わせてくれます。嫌なことなど何もかも忘れて笑えます。
50代定年後に不安がある人・・「ふろしき」お梅ちゃんと生まれてきた亀吉のために頑張る久蔵。でも大事なことを忘れてとんでもないことになってしまいそうに!!定年を見据えた50代は人生の岐路。本当に大切なものを見失いになりがちなあなたに大切にしなければならないものは何か?ヒントがあります。
50代これからの人生に悩んでいる人・・おすすめは「こばなれ」。こどもに本当にやりたいことさせてあげる。お家の為とかではなく自分が興味をもってやりたいと思った事をさせてあげるのって昔は、特に武家では難しい事だったのだ。そんな時代に自由に生きる鉄斎が悩める少年の力になろうとする。自分の事だって同じこと。
●著者プロフィール
畠山健二(はたけやま けんじ):1957年東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、週刊誌のコラム連載、ものかき塾での講師まで精力的に活動する。日本文芸家クラブ会員。著書に「下町のオキテ」(講談社文庫)、「お笑いグルメ帳』(双薬社)、「落語歳時記』(文化出版局)など多数。2012年「スプラッシュマンション」(PHP研究所)で小説家デビュー。文庫書き下ろし時代小説「本所おけら長屋」(PHP文芸文庫)が好評を博し、人気シリーズとなる。引用:文庫著者紹介より
●まとめ
おけら長屋では事件がおきないことはない。
辰次の恋、お梅ちゃんと所帯をもった久蔵ががんばる。石黒藩も鉄斎にまたもや借りをつくることになる。ふたつの父親と娘の話。大家の徳兵衛さんとひょんなことから友達になった木田屋の主、二人の父親がそれぞれの娘とどう向き合っていくのか。
第3弾もおけら長屋から目がはなせない!!