江戸・本所亀沢町の長屋を舞台に、笑いと涙、人情と騒動が交錯する連作短編集です。
​第16巻では、「くらやみ」「ねんりん」「せいひん」「あいぞめ」の4編収録

◆あらすじ・内容・読みどころ

その壱:くらやみ
江戸の町で女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生。​奉行所同心・平五郎の密偵であるお美弥が、
下手人を追うサスペンス風の物語です。​お美弥の活躍と、事件解決に向けた長屋の住人たちの協力
が描かれ、緊張感と人情が交錯しています。

その弐:ねんりん
かつて長屋の住人だった・弥太郎が骨董品に興味を持ち始め、渋好みに変わっていく様子を
ユーモラスに描いた笑い話です。​彼の変化に周囲が戸惑いながらも、次第に巻き込まれていく
様子がユーモラスに描かれています。​江戸の庶民文化や趣味嗜好の変遷を感じさせる一編です。​

その参:せいひん
材木問屋の隠居・省吾郎が舟遊びの途中に難破し、下総に流される。​そこで貧しい少女・
お恭に助けられた省吾郎は、江戸に戻り、万松と出会う。​万松は、省吾郎の姿を利用して
「貧乏神」として興行を行い、大成功を収める。​しかし、最終的には稼いだ大金どこに
いくのか、、、、笑いと涙が交錯する人情話です。​

その四:あいぞめ
悲恋話の解決に乗り出したお満が、不穏な事件に巻き込まれる物語。
​お満の奮闘と、それを支える万造の姿が描かれ、二人の関係性の進展も感じられる一編です。
​恋愛と事件解決が絡み合い、物語に引き込まれてしまいます。​

◆こんな人におすすめ

忙しいけど読書したい人(1話完結型が好きな人)
このシリーズは1話完結の短編集なので、まとまった時間がなくても1話ずつ読めます。
電車の中や寝る前のちょっとした時間に、テンポよく読書を楽しめます。

笑えて泣ける人情ドラマが好きな人
江戸の長屋に住む、ちょっと間抜けで、でも情に厚い人たちのドタバタ劇は、
笑いながらも心にじんわりきます。人生の喜怒哀楽がつまっていて、読むたびに
「人間っていいな」と思えます。

時代劇ファン・落語好きな人
言葉のリズムやユーモア、登場人物の掛け合いは落語的な面白さがあり、時代劇の世界観が
好きな人にはたまらない魅力があります。堅苦しさがないので、時代小説が苦手な人でも
入りやすいです。

江戸情緒と現代感覚が絶妙にブレンドされたシリーズなので、
「疲れた時に元気をくれる本」がほしい人にぴったりです。
シリーズ途中からでも楽しめるので、気軽に手に取れますよ。

◆著者プロフィール:畠山健二

1957年、東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、週刊誌のコラム連載、
ものかき塾での講師まで精力的に活動する。日本文芸家クラブ会員。
著書に『下町のオキテ」(講談社文庫)、『下町呑んだくれグルメ道」(河出文庫)、
『超入門!江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)など多数。2012年、「スプラッシュマンション」
(PHP研究所)で小説家デビュー。文庫書き下ろし時代小説「本所おけら長屋」(PHP文芸文庫)が
好評を博し、人気シリーズとなる。引用:文庫著者紹介より

◆まとめ

人気シリーズの第16巻は、サスペンス、ユーモア、人情、恋愛と、バラエティに富んだ4編が収録されており、シリーズの魅力が詰まった一冊です。​各編が独立しながらも、全体として一つの物語を形成しており、読者を飽きさせません。​江戸の庶民の暮らしや人間模様を描いた本作は、時代小説ファンのみならず、多くの読者におすすめできる作品です。​