時代小説初心者にとっても読みやすい。
ストーリーの展開もスピーディー!佐伯泰英の代表作。
●あらすじ・内容
豊後森藩の藩主の無念を晴らす「御鑓拝借」騒動が納まり、小籐次にしずかな江戸の生活が始まったとおもったが。。。一つの闘いが新たな闘いの種を落としていた。
侮辱された主君の恥を雪ぐため、大名四家の御鑓先を強奪する騒ぎを起こした小籐次は、紙問屋久慈屋の好意で長屋に居を構え、研ぎを
仕事に新たな生活を始めた。だがある日、小籐次は見知らぬ男たち に襲われる。これは先の騒動で威言を傷つけられた藩の者たちの仕業なのかー。襲い来る刺客を小籐次は迎え撃つ。シリーズ第2弾。引用:文庫裏表紙
●おすすめどころ・見どころ
江戸の長屋での生活・・長年奉公してきた豊後森藩の下屋敷を藩主久留島通嘉の無念を雪ぐために辞したのち、新兵衛長屋に暮らしていた。長屋の持ち主は紙問屋の久慈屋昌右衛門で一家の命の恩人として行くところのなくなってしまった小籐次を住まわせていた。そんな江戸の街並みや庶民の暮らしぶりもしっかり描かれていているのも楽しみの一つです。
小籐次の恋・・ほとんど話もしたこともなく、15,6年前に一度見かけただけのおりょうに恋をする。その思いをずっと持ち続けていた小籐次はなんとも言えずうぶで素敵だ。そして偶然の再会で初めてお互いの存在を知る。これは胸キュンの一場面。そんなまさかの2まわり以上もの年の差、そんな年齢のこともありなかなかおりょうに積極的にいけずにる小籐次はなんともかわいらしくていじらしいところも魅力に一つだ。その恋の行方、ずっと見守っていたくなります。
小籐次の闘い・・小城藩の13名の脱藩者たち。同じ藩主に仕えているものの考えが違うために闘わなければならない悲劇も見どころです。闘いを避ける道もあったにもかからわず、武士としての己の意地と相手に対しても武士として遇する態度を貫いたために闘わざるを得なかった小籐次。命をかけて守るの
小籐次を支える人々・・紙問屋久慈屋の主久慈屋昌衛門は旅の途中盗賊に襲わているところを小籐次に命を助けられた縁で小籐次の世話をするようになる。うずは舟で野菜売り来る娘。包丁砥の商売を始めたばかりの頃の小籐次と知り合い、商売始めたばかりで客のいない小籐次に客を紹介してあげたりする面倒見のよい江戸っ子娘。勝五郎は新兵衛長屋で小籐次のお隣さんで版木職人。女房のおきにとともにひとり者の小籐次の生活に世話を焼いてくれる。おりょうは旗本水野監物の下屋敷奥女中。小籐次のあこがれの人。これらの人々との関わり合いの一つ一つが物語に花を添えています。癒されます。
●この本をおすすめする人
中高年の方、50代のあなたにおすすめ。時代小説ファンはどなたにもおすすめなのですが、特に小籐次と同世代の方にお勧めです。
小籐次の仕事ぶり、闘いぶりをみてると50代、まだまだこれからって気になります。
●著者プロフィール
佐伯泰英(さえき・やすひで)1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、<文庫書き下ろし時代小説>という新たなジャンルを確立する。おもな著書に、「居眠り磐音」「酔いどれ小籐次」「新・酔いどれ小籐次」「密命」「吉原裏同心」「吉原裏同心抄」「夏目影二郎始末旅」「鎌倉河岸捕物控」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」「新・古着屋総兵衛」「空也十番勝負青春篇」各シリーズなど多数。2018年、菊池寛賞受賞。引用:文庫カバーより
●まとめ
第2巻の「意地に候」ではいろいろな意地がぶつかり合う。一旦は収まったはずの御鑓拝借問題、納得できない者もあり、それが武士の世界なので決して引くことはない。追われる方は追われる方で大変だが、追う方も命がけだ。命がけの闘いの合間にある長屋での暮らしぶりやおりょうとの出会いなども見逃せないシーンです。江戸の庶民の味方、新しい人気者の誕生!!