御鑓拝借で大名4家にたちむかった小藤次は江戸の町の人気者となっていた。
そんな有名人・小藤次には新たな刺客がさし向けられる
●あらすじ・内容(どんな本?)
久慈屋の大番頭、観右衛門の依頼で芝神明大宮司、西東正継を助けることになった小籐次。
社殿前の賽銭箱に若い男が剣で串刺しにされ、死んでいたという。大宮司は、小籐次に思いも
かけない秘密を打ち明けたー。“酔いどれ、の名が江戸市中に広まり、小籐次の身には次々に
新たな難題が降りかかる。ますます快調の決定版第5作!引用:文庫裏表紙より
●読みどころ
新兵衛長屋
御鑓拝借騒ぎのあと、江戸市中の新兵衛長屋で新たな暮らしを始めた小藤次。新兵衛長屋で町人
たちに囲まれて平和に暮らす小藤次の姿にはほっとさせられます。そんな新兵衛長屋も新兵衛の
娘お麻一家が越してきて少し代替わりの変化が起きようとしている。
名刀と砥ぎ
武士の命ともいえる刀。小藤次は思わぬ形で逸品といえる孫六兼元という名刀を手に入れる。
しかし、手入れがなっていないので砥ぎが必要であった。この名刀を砥ぎにかかるまでの
過程も小藤次は楽しんでいる。砥ぎは小藤次にとって食べていくための仕事でもあり、趣味でも
ある。卓越した砥ぎの腕をもつ小藤次は名刀、孫六兼元を自らの手で砥ぐのが嬉しくてしょうが
ないという感じ。砥ぎの準備で砥石を水につけていると無意識で顔がほころんでしまっている。
小藤次の戦い
有名になった小藤次には御鑓拝借で因縁のある4大名とは別に命を狙う刺客が次から次へと
現れる。迷惑な話だと言いながら、平然と刺客たちを迎えうつ姿がいい。
●こんな人におすすめ
・剣豪もの、時代小説が好きな人。イケメンでもない50過ぎのじい様が誰よりも強い。
●著者プロフィール 佐伯泰英(さえき・やすひで)
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験
を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを
皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、<文庫書き下ろし時代小説>という新たな
ジャンルを確立する。おもな著書に、「居眠り磐音江戸双紙」「密命」「吉原裏同心」
「鎌倉河岸捕物控」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」「新・古着屋総兵衛」
各シリーズなど多数。引用:文庫カバーより