藩主の恥辱を雪ぐために、藩をぬけて大名四家の大名行列を襲い御鑓先を奪ったことで、
すっかり江戸で剣の達人として有名人となってしまった小藤次だが、、、
●あらすじ・内容(どんな本?)
御鑓拝借に始まった騒動から年が明け、文化十五年。赤目小籐次と、肥前鍋島本藩を含む四家が組織
した追腹組の死闘は続いていた。それに追い打ちをかけるように、江戸の分限者たちが小籐次の首に
千両の憂賞をだし、剣客を選んで順に小籐次を襲わせるという噂が流れる。事の真偽は如何に?
小籐次の危難が続くシリーズ第4弾!
引用:文庫裏表紙より
●読みどころ
・小藤次とおりょう
もともと豊後森藩下屋敷の厩番で貧乏暮らしをしていた赤目小藤次は嫁をとることもできずに五十を
むかえた。そんな小藤次にも思い人はいた。水野家下屋敷に奉公しているお女中の”おりょう”だ。
おりょうをみかけたときから小藤次はおりょうをおもい続けていた。おりょうになにかを求めるわけ
でもないのだが、おりょうの存在が小藤次を幸せな気分にさせていた。
・小藤次とうづ
森藩の奉公をやめた小藤次は御鑓拝借でひと暴れした後、江戸の町で暮らし始めた。
生活の糧にしたのが、父親からが教えられていた刀砥ぎだ。江戸の町人が家や店でつかう包丁など
の砥ぎの商売を始めた時に出会ったのが野菜売りをしていた少女うづ。うづが商売になれない小藤次
のことを何かと世話するうちに二人は仲良くなっていった。江戸の町人の暮らしがうづや小藤次の
商いを通じて描かれていてほっこりできます。うづが小藤次のことをはじめは「お侍さん」と呼んで
いたのがいつから「赤目様」と呼び徐々に仲良くなっていくのも楽しみの一つです。
・小藤次五〇才、独身
主君の恥辱を雪ぐために命をかけて大名行列を4回も襲うという活躍をするのが、下屋敷の厩番で
しかも五十才のじい様侍というのがいい。しかも半端なく強い。御鑓拝借の小藤次は今度は逆に
その藩から逆に命を狙われることになる。小藤次の強さが痛快!
・小藤次の芸
「酔いどれ」と呼ばれるだけあって、小藤次の酒豪っぷりは半端ではない。本文中にも幾度も酒を
飲むシーンが描かれていて、見どころになっている。
酒を飲むだけでこれだけ人を喜ばせる(驚かせる)ことができるなんて、まさに小藤次の一芸。
●こんな人におすすめ
五〇代で頑張ってる人・・・小藤次50歳。やはり同年代の活躍はうれしいもの。
新しいことにチャレンジしたい人・・・小藤次が何にも臆せず新しいことにチャレンジする。
そんな姿を見せてくれます。
●著者プロフィール 佐伯泰英(さえき・やすひで)
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験を活かしてスペインを
テーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、
<文庫書き下ろし時代小説>という新たなジャンルを確立する。おもな著書に、「居眠り磐音江戸双紙」「密命」
「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」「鎌倉河岸捕物控」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」
「新・古着屋総兵衛」各シリーズなど多数。引用:文庫カバーより