●あらすじ・内容

明治時代は、日本が世界に遅れを取らないようにと急激に変化していた時代。西洋列強に追いつくために必死で努力する日本、その中で努力し、夢を追いかける若者たちの姿が描かれています。。まだ遠くに見える雲、その雲を目指して長坂を登り続ける。彼らが見た未来の可能性と、彼らがどのようにそれを現実にしていったか、長い坂を登り始めた3人の若者の長い物語が始まります。

3人の登場人物

・秋山好古:冷静沈着で責任感が強く、後に騎兵の大将となる人物です。自分の夢を叶えるために、静かに着実に努力を重ねる姿が印象的です。

・秋山真之:好古の弟で、海軍の参謀として歴史的に有名な人物です。彼の鋭い頭脳と先見性は、日本海海戦の勝利に貢献しました。

・正岡子規:俳人であり、病に倒れながらもその創作意欲を失わなかった人物です。子規の短い生涯は、いかに自分の情熱に忠実であるかを教えてくれます。

●おすすめどころ・感想

歴史を学ぶだけじゃない!歴史的な事件や戦争の中に、私たちが日常で直面するような「成長」「努力」「挫折」「友情」などのテーマが描かれています。物語の中に人生に役立つようなヒントを見出だすことができます。

1. 夢を追いかけることの大切さ
「坂の上の雲」というタイトルそのものが、夢を追いかける姿勢を象徴しています。私たちも人生という坂道を登っている最中で、目指す目標や夢があることで、困難な局面でも前に進む力が生まれます。夢がはっきり見えない時もありますが、それでも目標を持ち続け、少しずつ前進することが大切です。

2. 挫折と成長の関係
この物語の中で、登場人物たちは何度も挫折を経験しますが、それでも成長を止めません。例えば、秋山真之は若い頃に失敗も経験しながらも、学び続けて日本海海戦という大きな勝利を手にしました。私たちも、失敗を恐れず、それを成長の糧にすることで、新たな自分を発見することができるのです。

3. 周囲との協力と友情
『坂の上の雲』の登場人物たちは、それぞれが自分の道を進みながらも、他者との協力を大切にしています。特に、秋山兄弟や正岡子規との友情や絆は、彼らの成長に大きな影響を与えています。私たちも、孤独に戦うのではなく、周りの人々と協力しながら前進することが、成功への鍵となるでしょう。

●この本をおすすめする人

人生に悩んでいる人・・この本は私たちがどう生きるべきかを問いかけてくれます。明治時代という激動の時代に生きた人々が、どのようにして夢を追い、困難を乗り越えてきたか。それは、令和に生きる私たちにも通じる普遍的なものです。

●著者プロフィール 司馬遼太郎(しば・りょうたろう)

大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、「家の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院完恩賜質。57年、「ひとびとの登音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく南蛮のみちIぃ」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大佛次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。日本芸術院会員。著書に「司馬遼太郎全集」(文藝春秋)ほか多数がある。平成8(1996)年急逝。

●まとめ

この本は歴史の知識が深まるだけでなく、自分自身の生き方について考えるきっかけにもなり、単なる歴史小説ではありません。夢を持ち続けること、努力を続けること、他者と協力しながら成長することの大切さを教えてくれる一冊です。明治時代という特異な時代背景の中で、当時の人々がどうやって自分たちの未来を切り開いたのか。それは、今現在私たち自身が未来を切り開くためのヒントになりえます。