おすすめ時代小説:幕末のニューヒーローの登場!!

●あらすじ・内容

文庫書下ろしの時代小説のトップランナー作家「佐伯泰英」の新シリーズのスタート!

安政地震の報に、旗本座光寺家の江戸屋敷へ信州伊那から駆けつけた若者本宮藤之助。だが放蕩者の当主・左京為清は焼失した吉原で妓楼の八百両をくすね、女郎と消えていた。武家の面目は、天竜川で鍛えた康之助の豪剣に託された。座光特家の使命を知った豚之助は、ついに主殺しを決意するが!? 待望の新シリーズ。引用:文庫裏表紙より

●おすすめどころ・感想

時代小説好きには特に幕末が好きという読者も多いだろう。

「変化」は江戸の町が安政の大地震にみまわれるところが物語ははじまる。

この時代の魅力は日本が幕末から開国へと向かい国が大きく変化しようとしているところ。

また、幕末の剣豪、北辰一刀流の千葉周作が作中に登場し、主人公本宮藤之助とからむところも幕末剣豪ファンにはたまらないシーンになるに違いない。

本宮藤之助の強さと魅力:剣豪小説の大事な要素は主人公にあるが、これだけさわやかな剣豪もなかなかいないのではないか。

本当に藤之助はいい青年なのだ。いい青年だからまわりがほっとかない。女中の文乃もきっと藤之助に好意をもつ。

藤之助は伊那で入門していた信濃一傳流ではすでに達人の域にあり、さらに独自の修行であみ出した必殺技「天竜あばれ水」を

つかって、悪人を打ち負かしていく闘いの場面などは圧巻。

その強さは幕末の剣豪といわれた千葉周作に「信濃一傳流、恐るべし」と言わしめるほど。

 

主人公藤之助の主家は信州伊那谷にあるわずか千四百石の座光寺家。その座光寺家が大名と同様に参勤交代をするのは訳があった。

それは座光寺家の藩主と、ごく一部の者しかしらない将軍徳川家との秘密があった。

このような謎を最後の方までもっていることでストーリーに重厚感と、これまで積み重ねてきた時代の奥深さを感じさせてくれます。

●この本をおすすめする人

幕末好きな人・・舞台は幕末。新しいヒーローと新しい幕末小説の誕生。
剣豪小説好きな人・・主人公の本宮藤之助は信州伊那で鍛えためっぽう強い剣士。そのあっぱれな戦いぶりは壮観です。

●著者プロフィール佐伯泰英(さえき・やすひで)

1942年福岡県生まれ。闘牛カメラマンとして海外で活躍後、国際冒険小説執筆を経て、99年から時代小説に転向。迫力ある剣戟シーンや人情味ゆたかな庶民性を生かした作品を次々に発表し、平成の時代小説人気を牽引する作家に。「密命」「居眠り磐音江戸双紙」「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」「古着屋総兵衛影始末」「鎌倉河岸捕物控」「酔いどれ小籐次留書」など各シリーズがある。講談社文庫では、本書が待望の初作品。引用:文庫カバーより

●まとめ

幕末の大谷翔平のような印象さえ抱かせる藤之助。背がたかくて男前。礼儀正しく、人間もできている好青年。剣術もだれにも負けない達人レベル。藤之助はこれだけ完璧な人がいるだろうかと思わせるような人柄なのです。そんな藤之助が幕末の日本でどんな活躍をするのかワクワクが止まらない!
最後の最後にこの本のタイトル「変化」の意味がはっきりします。