いよいよ蠱毒も終盤、残ったのは格闘モンスターばかりの最新刊。
兄弟で戦っていこうとする愁二郎たちの行く手には手に負えない化け物が立ちふさがる。
●あらすじ・内容
東海道を舞台にした「蠱毒」も、残り二十三人。人外の強さを誇る侍たちが島田宿で一堂に会した。血飛沫の舞う戦場に神と崇められる「台湾の伝説」が現れ、乱戦はさらに加速するー!数多の強敵を薙ぎ倒し、ついに東京へ辿り着いた愁二郎と双葉を待ち受ける運命とは。疾風怒濤の第三巻!<文庫書下ろし> 引用:文庫裏表紙より
●読みどころ
読みどころ1: 剣士たちの最終決戦
京八流の兄弟たちが力を合わせて化物クラスの強敵たちとの決着を迎えます。愁二郎、祇園三助、化野四蔵、衣笠彩八など、シリーズを彩ってきたキャラクターたちが、それぞれの覚悟と信念を胸に戦う姿は圧巻です。そして、彼らも気づかなかった京八流の謎が少しづつ明らかになっていき、彼らが紡ぐドラマは剣劇以上の深い感動を読者に与えます。特に、戦闘だけでなく、それぞれが抱える内面の葛藤や宿命が一層強く描かれているのが魅力です。
読みどころ2: 明治という時代の描写
シリーズを通して描かれる明治維新後の日本―刀から銃へ、武士から新時代の人間へと変化するこの時代のリアルさは、本作でも健在です。『イクサガミ 人』では、武士の時代から明治という近代国家に生まれ変わろうとしている日本を刀と銃の戦いや徒の旅から鉄道の登場などで希望と混乱が対比されていることがこの明治という時代を象徴してるように感じられます。
読みどころ3: 人間ドラマの集大成
戦いを通じて描かれるのは、単なる勝敗だけではありません。友情、裏切り、愛憎、そして命の価値。愁二郎たちが直面する人間ドラマは、深い問いを投げかけます。この第3巻で明かされる真実やキャラクターたちが見せる本音の瞬間には、胸を締め付けられる思いがするはずです。それぞれが抱える信念や矛盾、葛藤が見事に描かれ、人生の選択という普遍的なテーマが物語全体を貫いています。
●こんな人におすすめ
時代小説や歴史小説が好きな方
明治維新の時代背景に興味がある方
心揺さぶられる人間ドラマを楽しみたい方
バトルシーンの迫力を堪能したい方
●著者プロフィール
1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥羽州ぼろ組」(祥伝社文庫)でデビュー。’20年「八本目の槍』(新潮社)で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年「じんかん」(講談社)で第11回山田風太郎賞を受賞。21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第6回吉川英治文庫賞を受賞。’22年「塞王の楯』(集英社)で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「くらまし屋稼業」シリーズ『童の神』(角川春楜事務所 時代小説文庫)「ひゃっか!全国高校生花いけバトル」(文響社)「てらこや青義堂 師匠、走る』(小学館)がある。引用:文庫カバーより