●あらすじ・内容
大正15年5月、十勝岳大噴火。突然の火山爆発で、家も学校も恋も要も泥流が一気に押し流してゆく・・・・・・・。上富良野の市街からさらに一里以上も奥に入った日進部落で、貧しさにも親の不在にも耐えて明るく誠実に生きている拓一、耕作兄弟の上にも、泥流は容赦なく襲いかかる。真面目に生きても無意味なのか?懸命に生きる彼らの姿を通して、人生の試練の意味を問いかける感動の長編。引用:裏表紙より
●おすすめどころ・感動、共感したセリフから
「あんなぁ、耕ちゃん。父ちゃんが言ってるよ。叱られても、叱られなくても、やらなきゃあならんことはやるもんだって」
罰当番として一人で掃除させられてる権太を手伝う耕作は先生に手伝ってるのがみつかったら二人とも怒られるから拭き掃除はしないで、はやく掃除を終わらせて帰ろうと言ったとき権太の言葉には心打たれました。優等生でいつも周りから褒められてきた耕作ははじめ権太の言ってることがよくわからなかった。耕作はこれまで叱られるようなことはしないで、人から褒められることをしようとしてきた。実際耕作は叱られるようなことをすることはなく、いつも褒められてきた。叱られるようなことはしなかったし、しかられるのは恥ずかしいことだと思ってきた。ところが権太は叱られるとか、叱られないとかじゃなくて、やらないといけないことはやるんだと言う。まわりがどういうか、どう見るかではなくて、自分が正しいと思ったことはしたほうがいいんだ。
「・・・辛くたって、辛いっていえないわ」
父親の借金の為に売られていった幼なじみの福子。淋しげに笑って、こう言う福子に耕作はなにもいえずにいた。辛くてたまらないのに辛いといえない辛さ、、、家のため、家族のために自分を犠牲にして、つらいのをこらえて生きる福子。さらに福子はいう。「ね、耕ちゃん。わたしね、時々死にたいっておもうの。夜寝る時にね、明日の朝はもう、どうか目が覚めませんようにって、わたしお祈りして寝るのよ」なんて悲しいことを言うんだ、、、、と思う。だがそれでも誰を憎むこともなくけなげに生きる福子の心のなんと美しいことか!
●この本をおすすめする人
自分はなんてついてないんだと思う人・・ついてる、ついてないというよりも大切なことが書いてあるかもよ。
人が信じられない人・・世の中いい人も悪いと思われる人もいます。たまたま悪い人とばかり出会ってしまうと人の事が信じられなくなるかもしれません。それでも一番信じたほうがいいのは・・・
●著者プロフィール:三浦綾子
旭川生れ。17歳で小学校教員となったが、敗戦後に退職。間もなく肺結核と脊椎カリエスを併発して13年間の闘病生活。病床でキリスト教に目覚め、1952(昭和27)年受洗。”64年、朝日新聞の一千万円懸賞小説に『氷点」が入選、以後、旭川を拠点に作家活動。主な作品に『塩狩峠」「道ありき」『天北原野」「銃口」など。’98(平成10)年、旭川に三浦綾子記念文学館開館 引用:文庫本裏表紙
●まとめ
まじめに生きていてもいつまでも貧しかったり、災害にあうときはあったりする。ずるいことをやっていてもばちも当たらない人もいる。この本はまじめに生きることの尊さを教えてくれます。悪い奴が死刑になるんなら当たり前。それじゃ何の価値もない。だけど罪もない人が死ねば誰だって胸をうたれる。だから神の子は罪深い人間たちの代わりに十字架にかけられたんだ。拓一,耕作の祖父市三郎は子供たちにもわかりやすいように話をしてくれるので僕にとっても感動とともにとてもためになる一冊でした。