●あらすじ・内容
“猪母真羅”持ちで美丈夫の麗門愛之助。女が群がるこの男、実は放念無慚流の達人にして、大身旗本の次男坊という恵まれた境遇。しかし宮仕えを嫌い、気ままな用心棒暮らしを送っていた。ところが、江戸中を恐怖に陥れていた残虐な盗賊団”煬帝”を、「ある事情」から斬ることになった愛之助だが!?: 時代小説界のネオ・ヒーロー、ここに誕生! 引用:文庫裏表紙より
悪徳商人ばかり狙う窃盗団”煬帝”の本当の狙いは?愛之助はなぜ”煬帝”と戦うことになるのか?剣豪愛之助の活躍が次つぎと楽しめます。
●どんな本?(おすすめどころ・感想)
・剣の達人、麗門愛之助。出だしからいきなり強さを見せつける。因縁をつけてきた芹沢という武士と往来で相対することになってしまい、お互いに引かずに壮絶な斬り合いが始まるのかと思いきや、一瞬で芹沢の髷が切り落とされザンバラ髪になるというみじめな姿をさらしてあっさりと決着がついてしまう。この時はそのまま逃げ去る芹沢をみて見物人たちが大笑いして終わるのだが、この出来事が後々厄介な問題を引き起こしていく。
・もてっぷりがすごい愛之助。湯上りの愛之助が湯屋の二階で酒を飲んでいると、隣で将棋を指している年寄りたちが女がよってくる愛之助に話しかける。「女がいなくて困ったこどなどないのでしょうな?」「うむ、そうゆうことはないようだ」「羨ましい、一度でいいから、そんなことを言ってみたい」「世の中にはこんな羨ましい人もいるのだなあ」いや、こんな人はいないでしょう。と思いつつ、やっぱり羨ましい!
・愛之助の親友、天河鯖之介は剣の腕は愛之助と互角だが、ぶ男で貧乏御家人。いつもぼやいていることが多い。「女に好かれないのは、貧乏だかでも不細工だからでもない。顔なんか、どうでもいいのさ。おまえは懐が淋しいだけでなく、心も淋しい。いつも愚痴ばかりこぼす。お前と一緒にいると、自分は幸せになれそうもないと女は察するんだよ。だから、そばに寄ってこないんだ。」いつも女にもててる愛之助が言ってもなあ。でもやっぱりこれは間違っていない、真実なんだな。心まで淋しくなってはいけない、愚痴をこぼしてばかりでもいけない。ということだ。
・江戸の悪徳商人を狙って盗みを繰り返す盗賊団、煬帝。盗むに入るのは悪徳商人ばかりだが、盗みに入った家の家族は皆殺しという残虐な手口。徳川幕府の敵となる煬帝と戦うことになる愛之助。煬帝との戦いははじまったばかり。これからの愛之助の活躍に期待がふくらむ。
●こんな人におすすめ
・もてたい人・・愛之助のもて方をよく見てみるといい。でもあまり参考にはならないかも。。。
・おちこんでる人・・戦ってる愛之助も、女にまとわりつかれる愛之助も落ちた気分を一気に晴らしてくれます。
●著者プロフィール
1961年、北海道生まれ。九八年に第四回歴史群像大賞を受賞した「修羅の意」でデビュー。「陰陽療」シリーズ、「妖説 源氏物語」シリーズなどの伝奇小説、「SRO 視庁広域捜査専任特別調査室」シリーズ、「視庁ゼロ係」シリーズなどの警察小説、「軍配者」シリーズ、「北条早雲」「北条氏康」シリーズなどの時代・歴史小説と、幅広いジャンルで活躍している。 引用:文庫カバーより
●まとめ
苦労しらずの旗本の次男坊、愛之助は剣がめっぽう強く、女にももてまくり。一方、親友の鯖之介は貧乏でブスで全く持てない。対照的な二人は親友同士。江戸時代中期の剣豪の活躍にワクワクする一冊です。