●登場人物とあらすじ
登場人物
小泉屋新兵衛:大きな札差の嫡男で、ふらふらと遊んでばかりの放蕩息子。結婚もしようとせず両親を心配させる。
和助:新兵衛に金魚の糞のごとく付き従う、冗談ばかりのとびきりひょうきんな太鼓持ち。
稲妻五郎:新兵衛が旅に出るにあたって雇った用心棒。偉丈夫でいかにも威圧感のある侍だが・・?
あらすじ
御蔵前の札差「小泉屋」の跡取りの新兵衛は、放蕩三味の日々を過ごしている。ある日、両親に縁談の話を持ち掛けられる新兵備だが、まだ身を固め【家を継ぐ気はなく、縁談を保留し、後学のためと称して諸国を巡る旅に出る。馴染みの太鼓持ちの和助と、訳ありげな用心棒の稲妻五郎の三人連れで、東海道で箱根に向かう新兵衛だが、行く先々で様々ないざこざに巻き込まれ・・・・・・。笑いあり、涙ありの大注目シリーズ、堂々開幕! 引用:裏表紙より
●この本のおすすめどころ
新兵衛のこの旅を始めた本当の理由に感動!
縁談を先延ばしにするために旅にでたと思われた新兵衛だが、それだけではない以外な理由もあった。
跡継ぎとして家のことなど何も考えていないように見えていたが、実は家の事もひ弱な弟の事もすべて考えたうえでの行動だった。
新兵衛のやさしさには心打たれる。
和助の太鼓持ちになった理由に涙・・・
いつもぺらぺらと冗談ばかりいっている和助。ひょうきんな性格で生まれついて、ただ面白おかしく太鼓持ちをやっているわけではなかった。幼い頃からいうに言えない苦労をして、天涯孤独な一人の男の生き方であった。
稲垣五郎は用心棒として雇われた時は体は大きく、いかつい顔をしていかにも用心棒という風貌であったが、
だんだんと人のいいやさしいおじさんに思えてきた。
旅先で遭遇する事件や人とのかかわりから3人の本当の姿が見えてくるのが楽しい時代小説。
●この本をおすすめする人
人情もの時代小説が好きな人におすすめ。3人のやさしさや、不器用さ、一生懸命さに笑わせられたりホロリとさせられます。
●著者プロフィール稲葉稔 いなば・みのる
1955年熊本県生まれ。脚本家などを経て、94年に作家デビュー。冒険小説、ハードポイルドを皮切りに、近年は時代小説に力を注いでいる。代表される作品に「浪人奉行」シリーズ(双葉文庫)や「隠密船頭」シリー(光文社時代小説文庫)、「武土の流儀」シリーズ(文春文庫)などがある。引用:文庫カバーより