いよいよシリーズ完結!
突然の脱藩から始まった嘉一郎と助八郎の旅はどのようなゴールをむかえるのか?!

●あらすじ・内容(どんな本?)

豊後・佐伯藩から二人を追ってきた奉行・下野江がついに現れた!助太刀稼業を続ける神石嘉一郎は、毛利助八郎の驚くべき変貌や個性豊かな女武芸者らを目の当たりにし、大いに刺激を受ける。そんな時、江戸の娘たちが佃沖の異人船に捕らわれているとの知らせが一新しい冒険ストーリーが堂々完結 引用:文庫裏表紙より

●読みどころ

*白井道場師範方と助太刀稼業
嘉一郎は江戸で剣術の腕前をいかして白井道場で師範方をつとめていた。道場では師範方としてだけではなく剣術修行として稽古に励んでもいた。しかし江戸で暮らしを立てていくには道場師範代だけでは難しい。もう一つの助太刀稼業も日々仕事があるわけではない。助太刀稼業という肩書を世間に広めていかないといけないが、はたしてどのようにして広めていくのか....

*悟りの境地は死
人間だれしも心身を悩ましたり、乱したりする煩悩に苛まれる。煩悩の根源は欲・怒り・愚かさの三つ。これら三つの悩みが消えて心の安らぎを得た状態を『悟り』の境地というそう。『悟り』の境地とは、人がだれしも避け得ない死であるという。嘉四郎は備前屋十右衛門に涅槃について話をきき、悟りの境地に至ることの難しさ、己の修行未だ足りない事を知る。それはこれからの嘉四郎の生き方にどう影響をあたえていくのか....

*嘉一郎、助八郎それぞれの生きる道
助八郎は一人江戸の町で生きていくために、意外な才能をみつけていた。それは藩にいては決してみいだせないであろうと思われる思いもしない事だった。人は自分でも気づかない才能というものがあるもの。見栄などはらずに自分にできること自分らしいことと向き合って生きるのが、元気に幸せに生きる秘訣。嘉四郎はそんなことを助八郎の姿から感じていた。そして自分も負けられないと、助太刀稼業なり、剣の指南なり、できることを懸命にこなすのみ、と思い直していた。

●こんな人におすすめ

自分の生き方に迷いを感じる人・・・武者修行を続ける剣術家としての嘉一郎の苦悩が自分と重ねてみることができるかもしれません
時代小説が好きな人・・・とても読みやすい、主人公が強くてかっこいい。
佐伯泰英が好きな人・・・新シリーズ完結 第三弾

●著者プロフィール

1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作「闘牛」をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、<文庫書き下ろし時代小説>という新たなジャンルを確立する。おもな著書に、「居眠り磐音」
「空也十番勝負」「酔いどれ小籐次」「新・酔いどれ小籐次」「密命」「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」「鎌倉河岸捕物控」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」「新・古着屋総兵衛」「照降町四季」「柳橋の桜」「芋洗河岸」各シリーズ、『新酒番船』『電稲荷の猫』など多数。2018年、菊池寛賞受賞。引用:文庫カバーより