人目を引く美しい母と娘がまたまた江戸を騒がせる!
知的でユーモアあふれる痛快時代ミステリー
●あらすじ・内容(どんな本?)
佳奈姫が贔屓にしている小間物屋の津田屋は、実は姫のためだけにこっそり戯作本を届けている。
その日も津田屋から新作を受け取った佳奈姫だが、お気に入りの戯作者がお上から目を付けられ、
版元ともどもお調べが入ったことを聞かされる。居ても立ってもいられなくなった佳奈は、近習の
隆之介に頼み込み、戯作者の住む長屋を訪れるが、そこはすでにもぬけの殻だった。大名家の
無敵の母娘が難事に立ち向かう、大好評痛快時代小説シリーズ第二弾!引用:文庫裏表紙より
●読みどころ
1.知的好奇心をくすぐる「人気戯作者失踪」の謎
本作のテーマは「江戸の庶民の楽しみ、戯作本がお上から目をつけられる」という、一風変わった
テーマです。江戸時代にも一部の書物は幕府の統制下にありましたが、それを江戸時代のミステリー
として描いた秀逸な作品。読書文化が発展していた江戸の町で「本」が事件の鍵を握るという発想が、
歴史好きにはたまらない魅力!
2.母娘の活躍とバディの妙
母・彩智と娘・佳奈が協力し、事件を解決していく展開が本作の見どころ。武家社会において自由が
制限されがちな女性たちが、聡明さと行動力を武器に真相に迫る姿は痛快そのもの。推理だけでなく、
二人の掛け合いもユーモラスで、物語を軽快に彩ります。
3.江戸の町の雰囲気が味わえる細やかな描写
山本巧次氏の作品の特徴の一つが、時代考証の確かさと江戸の町の描写力。本作でも、町人文化や
当時の風俗が細やかに描かれており、まるで江戸の町を歩いているような気分にさせてくれます。
物語を楽しみながら、江戸時代の文化や社会の仕組みにも触れられるのが魅力です。
◆山本巧次作品の魅力
山本巧次氏の作品は、時代小説でありながらエンターテインメント性に富み、特にキャラクターの
生き生きとした描写が際立ちます。江戸を舞台にした作品が多く、時代の空気感を損なわずに
ユーモアと知的な謎解きを巧みに織り交ぜるのが特徴です。また、歴史的背景を活かしつつも、
現代を生きる私たちも共感するテーマを組み込まれているところに惹きつけられます。
『奥様姫様捕物綴り2 本を読む者は人目を忍べ』は、ミステリー要素と歴史的背景、
そして女性たちの活躍が見事に融合した作品。
●こんな人におすすめ
時代小説初心者・・・読みやすく、時代小説ファンなら好きなはず
ミステリー好き・・・時代小説でありながらミステリーとしても楽しめる作品
●著者プロフィール 山本巧次
1960年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。2015年、第十三回「このミステリーがすごい!」
大賞隠し玉となった『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』(宝島社)でデビュー。2018年、
『阪堺電車177号の追憶』(早川書房)で第六回大阪ほんま本大賞受賞。ほかに『早房希美の
謎解き急行』(双葉社)、『戦国快盗蘭丸』(講談社)、『鷹の城」(光文社)、『災厄の宿』
(集英社)など著書多数。 引用:文庫カバーより